芒種
(6月6日頃)
「苗」
永瀬清子私はかぼそい苗を植えた
私は肩にしなう肥料をかつぎ
私は汗にあえて畦泥をこね
今満々と満ち来たる山川の流れの
わが田に小さい渦をなして注ぎ入るところに
私はかぼそい苗を植えた。
我と家族の命をつながんために。
我が詩の命をもつながんために。
わが苗のそよぎの
あまりに緑うすく柔かなるがあわれさに
心にちかって人並の百姓にならんと思うた。
私はかぼそい苗を植えた
私は肩にしなう肥料をかつぎ
私は汗にあえて畦泥をこね
今満々と満ち来たる山川の流れの
わが田に小さい渦をなして注ぎ入るところに
私はかぼそい苗を植えた。
我と家族の命をつながんために。
我が詩の命をもつながんために。
わが苗のそよぎの
あまりに緑うすく柔かなるがあわれさに
心にちかって人並の百姓にならんと思うた。