車窓の移ろひ、季節の移ろい 永瀬清子の二十四節気

日本には春夏秋冬の四季だけではなく、二十四の気という季節があります。風や雨、花や草木、虫や鳥などの自然現象にまなざしを向けるこれらは生きとし生けるものの息吹に満ちています。

一方、現代詩の母と呼ばれた岡山県赤磐郡豊田村(現赤磐市)出身の永瀬清子。四人の子の子育てと農業に従事しながら詩作を続け、精緻な洞察力で捉えた言葉を紡いで、自然や情感を時に先鋭的に描写した作品を数多く世に送り出した女流詩人です。
2019年、美智子皇后(現上皇后)が代表作の一つ「降りつむ」を英訳・朗読されたことでも有名です。ちなみに永瀬清子は生前、岡山県庁への通勤や京橋の定期船乗り場へ行くのに、宇野バスを利用してくれていたようです。

宇野バスではいつもご利用してくださっているお客様に、季節の移ろいを感じていただけるよう、二十四節気を詩と写真とデザインで表現したポスターを作成し、運転席後部に掲示しています。二十四の気が折々に移ろうバスの車窓に、自然と人間への深い共感と洞察に満ちた永瀬清子の美しい詩を重ねながら読んでいただけたら幸いです。

アイコンデザインは「Nagase」と「Nijushisekki」の「N」をモチーフに、24本のラインで構成し、車窓と四季(季節)の「移ろい」を表現しています。

なお掲載の詩は、NPO法人 永瀬清子生家保存会(理事長・横田都志子)さんのご協力により、編纂されたものです。

秋分しゅうぶん

(9月23日頃)
秋分B3ポスター
B3ポスター

「死によって」

永瀬清子

死によってはじめて愛がわかる。
居なくなった人はいつでも会える人より、愛しい、かなしい。
あの時、何かを恐れもう一歩近よらなかった失策が、はじめてわかる。
失策、沢山の失策の中に埋れて人間は、私は、やがて死ぬ。
私が居なくなったら又沢山のことがわかるだろう。「死」があることはきっと「わかる」ことのためなのだから−。

抜粋

短章集』P143思潮社

協力

NPO法人永瀬清子生家保存会

写真 田中園子
写真

田中園子